同人徒然

同人でのモヤモヤが募った時に「王様の耳はロバの耳」的な徒然を吐き出しています


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同人誌のミスに怒る人
オン知人のA子さんが、B子さん主催の合同誌に参加した。
私同様、家族に隠れて腐女子サイトをやっている彼女は、それが「初のオフ活動」だ。書いたのは短めの小説。
発行後には私もおこぼれにあずかり、A子さんからご本をいただいた。それでお礼がてら、彼女に感想を述べた時の話である。

A子さんはかなり怒っていた。激昂、というぐらいに怒っていた。
何ごとか尋ねてみたら、掲載されたA子さんの小説の中で、何行か抜け落ちていた箇所があったらしい。
合同誌の主催者(=編集者)であるB子さんに送ったファイルでは、確かにその部分は綴ってあるようなので、これは間違いなく編集上のミスだと思われた。だからA子さんのご立腹はごもっとも。
ただ、くだんの「抜け落ちた数行」は、「えーと……ど、どのあたりかな…?」と作者たるA子さんに尋ねなければわからない程度だったりする。 抜け落ちた文章を教えてもらい改めて拝読したところ、その数行がなくてもストーリーの展開にはまったく影響のない描写だ。だから私も気づかなかったし、たぶんほかの読者さんも気づかないと思う。だってもともとの原稿を知らないのだから。

とは言え「気づかないからノープロブレム★」と返すわけにもいかず、私はただ、A子さんの言い分に耳を傾けた。
抜け落ちていたのは、彼女がこだわって描写したくだりだった。
初めてのオフ活動である。初めて、自分の作品が活字になって本に載っているわけである。その本で、こんなていたらく。
だから余計にショックで、腹も立つのだ。うん、それはわかる。そこまでは、わかる。
……わからなくなってきたのはそれ以降だ。

「そもそもB子さんの発行する本には、いつもミスがある」と彼女は言い出した。私はB子さんのご本を知らないが、これまで毎回、何かしらのミスがあるのだそうだ。誤字・脱字は言うに及ばず。 奥付を入れ忘れたり、掲載する自サイトのURLを間違えていたり。今回のA子さんのような、小説での数行抜け落ちも、B子さんは自分の本でもやらかしていたらしい。
うんうん、とあいづちを打っていた私だが、ふと思い出したことがあった。

A子さんも知っているジャンル大手のサークルさんが、「先日の新刊に大きなミスがありました」とインフォメサイトにお詫びを掲載していたのだ。そちらは漫画本を発行していたが、ノンブルを振り間違えたせいでページの順番が前後してしまっている箇所がある、というものだった。
つうか、ノンブル間違ってても印刷屋さんは指摘しないんだ?
入稿の時に、あれ?ここ順番逆じゃね?とかって直してくれたりはしないんだな。
なんて思ってしまった私だが、商業誌のアンソロジーにも名を連ねるような作家さんでさえ、そんなミスを犯すのである。
私が細々と通販で入手した萌えご本の中にも「訂正箇所があります」云々のメモが挟まれたものが何冊かあるので、A子さんにはそれらの例を挙げつつ「だからまあ(B子さんのような)そういうミスはよく見かけるね」などと呑気なことを言ってしまった。
言ってしまったら、A子さんはますますヒートアップしてしまった。

「お金取って本を売るのに、ミスがあるなんてありえないよ。許せない」 と言い出したのだ。お金取って売った自分の本に、あとから誤字を見つけて「ひえええええ」と慌てた経験のある私は、もう土下座でもするしかない。
今回のことでB子さんが責められるのはやむなしとしても、私が挙げた作家さんに対してまで、A子さんは憤慨するのだった。

しかし当然のことながら、発行する側はわざと間違えようと思ってミスをしているわけではない。合同誌ならなおさら、人様の作品にそそうがあってはならん、と主催者は個人誌以上に気を遣うはず。だって相方と私もそうだった。
B子さんをかばう気は毛頭ないが、かと言ってA子さんの意見には全面的には賛成できなかった私。……なぜだろう。

今回の件、客観的に見てA子さんに非はない。人様の大事な作品を編集ミスするなんて、B子さんはどんだけ不注意か!と責めたくもなる。なるのだが、私はA子さんのようには糾弾しきれなかった。(当事者ではないせいもある)
そもそも、webでしか同人をしていなかったA子さんは「同人誌を発行してイベントで売る」というのが、実際にはどういう手順で行われているか知らない。「同人誌を発行」という部分を実行するだけでも、どれだけの手間がかかっているか、彼女は知らないのだ。(ワードに打った文章をメールに添付して、主催者に送信しただけだから)
それを知らないA子さんが「本のミスは許せない」とあまりの剣幕で言うものだから、「じゃあ貴女も同人誌を出してみたらいいよ」という気分になってしまったのだった。……私って根性悪い。

かく言う私も、数年前に相方との共催で合同誌を発行するまでは、その大変さが全くわかっていなかった。
普通の社会人である相方が、どれだけの手間と時間と金とスタミナとをかけて本を発行しているか、私はその時初めて知ったのである。サークル活動をしてらっしゃる腐女子の方々は、皆さんこんなことを日々なさっていたのかと、畏怖の念さえ抱いた。いや、抱いている。(現在進行形)
恐るべし、萌えのパワー。 萌えは偉大なり。ジーク・ジオン!

少しなりともオフ活動の中身を知ってしまった今、「このご本ったらミスがあるじゃないの、許せないわキイィ」とは私は思わない。ただ、A子さんのように感じる方も中にはいるのだ。ご自分でオフ活動をなさっていて、針の穴ほどのミスも逃がさずにご本を発行されている方だって、彼女と同じように思うのだろう。
………次に新刊を出す機会があったら、今度はミスしないように気をつけよう(自戒)

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